職場で「人間関係がうまくいかない」「部下とのコミュニケーションが難しい」「同じことを伝えているのに、なぜか相手に伝わらない」と感じたことはありませんか?
仕事の知識や技術があっても、周囲との関係づくりがうまくいかなければ、チームとして力を発揮することは難しくなります。
そこで注目したいのが「EQ」という考え方です。
EQとは、Emotional Intelligence Quotientの略称で、自分自身や周りの人の感情を理解し、その感情を適切に扱う能力を指します。「感情知性」や「こころの知能指数」と表現されることもあります。
今回は、EQとは何なのか、なぜ職場で重要なのか、そして日々の仕事でEQを高めるためには何を意識すればよいのかを解説します。
EQとは?「感情をうまく扱う力」
EQを簡単に表現すると、「感情を理解し、適切に扱う力」です。
ここで大切なのは、「感情的にならないこと」とは少し違うという点です。
人間である以上、仕事をしていればイライラすることもありますし、落ち込むこともあります。
大切なのは、感情そのものをなくすことではありません。
「今、自分はなぜイライラしているのか」
「相手はなぜこのような言い方をしたのか」
「この状態で相手に話しかけると、どのように受け取られるだろうか」
こうしたことを一度考え、感情に振り回されずに行動を選択することがEQの重要な部分です。
EQは、大きく分けると次のような能力として考えることができます。
| 要素 | 内容 | 職場での例 |
|---|---|---|
| 自分の感情を認識する | 今の自分の感情に気づく | 「今日は余裕がない」と気づく |
| 感情をコントロールする | 感情に任せて行動しない | イライラしても怒鳴らない |
| 相手の感情を理解する | 相手の立場や気持ちを考える | 部下が黙っている理由を考える |
| 適切に関わる | 状況に応じて行動を選ぶ | 今は指導より話を聞く |
つまりEQとは、「相手の気持ちを察する能力」だけではありません。
自分の感情を理解することから始まり、自分と相手の状態を踏まえて、より良い行動を選択する力だと考えると分かりやすいでしょう。

なぜEQが職場の人間関係に重要なのか
職場では、さまざまな価値観や考え方を持った人が一緒に働いています。
当然、全員が同じ考え方をするわけではありません。
上司からすると「普通の指導」のつもりでも、部下からすると「強く責められた」と感じることがあります。
反対に、部下が「何も言わないから大丈夫」と思っていても、実際には悩みを抱えていることもあります。
ここで重要になるのが、相手の言葉だけを見るのではなく、その背景にある感情にも目を向けることです。
例えば、部下が会議でほとんど発言しなかったとします。
「やる気がない」
「考えていない」
と決めつけてしまうと、その後の関わり方も厳しいものになってしまいます。
しかし、
「発言していいのか迷っているのかもしれない」
「失敗することを心配しているのかもしれない」
「そもそも話すタイミングが分からないのかもしれない」
と考えてみると、声のかけ方が変わります。
「何か意見ある?」
と聞くだけではなく、
「さっきの話、どう思った?急がなくていいから聞かせて」
と話しやすい環境をつくることもできます。
EQは、こうした小さなコミュニケーションの違いにも関係しています。
厚生労働省の「こころの耳」でも、職場の人間関係は働きやすさに大きく影響し、協働や連携にはメンバー間の信頼関係が重要だとされています。
つまり、人間関係を良くすることは、単に「仲良くする」という話ではありません。
チームとして仕事を進めるための土台づくりでもあるのです。
EQを高めるために、まず「自分の感情」に気づく
EQを高めようとすると、「相手の気持ちを理解しよう」と考えがちです。
しかし、その前に必要なのが自分自身の感情を理解することです。
例えば、部下から報告を受けたときに、
「なんでそんなことも分からないんだ」
とイライラしたとします。
このとき、そのまま怒ってしまうのではなく、
「自分は今、なぜこんなにイライラしているんだろう?」
と一度立ち止まってみます。
すると、
「自分も忙しくて余裕がない」
「同じことを何度も説明している」
「今日中に終わらせたい仕事がある」
など、本当の原因が見えてくるかもしれません。
ここが非常に大切です。
部下の行動が原因だと思っていた感情が、実は「自分自身の疲労や焦り」によって強くなっていたということもあります。
感情に気づくことができれば、行動を選び直すことができます。
「今は自分に余裕がないから、少し時間を置いて話そう」
という選択もできるわけです。
EQを高める第一歩は、「感情を抑えること」ではなく「感情に気づくこと」と考えると取り組みやすくなります。

職場でEQを活かす3つの方法
では、実際の職場ではどのようにEQを活用すればよいのでしょうか。
①「事実」と「感情」を分けて考える
誰かのミスがあったとき、
「○○さんは仕事ができない」
と考えてしまうと、相手そのものを否定する方向に進みやすくなります。
まずは、
「何が起きたのか」という事実と、「自分はどう感じたのか」を分けて考えてみましょう。
「報告が遅れた」という事実と、
「自分は不安になった」「予定が狂って焦った」という感情は別のものです。
この2つを分けるだけでも、相手を責めるコミュニケーションから、問題を解決するコミュニケーションへ変わりやすくなります。
②「なぜ?」ではなく「どうした?」と聞いてみる
相手に問題が起きたとき、
「なんでできなかったの?」
と聞くと、相手は責められていると感じることがあります。
もちろん原因を確認することは必要ですが、最初から問い詰めるのではなく、
「何があった?」
「どこで困った?」
「どうすれば次はやりやすくなる?」
と聞いてみるのも一つの方法です。
相手の感情を理解しながら、問題解決にもつなげることができます。
③ 相手の反応を見て、関わり方を変える
同じ言葉を全員にかければいいわけではありません。
すぐに話せる人もいれば、考えてから話したい人もいます。
厳しく言われた方が気持ちを切り替えられる人もいれば、まず安心して話を聞いてもらうことで力を発揮できる人もいます。
EQが高い人は、「自分が伝えたい方法」だけでなく、「相手が受け取りやすい方法」も考えます。
これは上司だけに必要な能力ではありません。
同僚同士でも、取引先との関係でも、チームで仕事をする以上は重要な力になります。
EQを高めることは、健康経営にもつながる
EQは、個人のコミュニケーション能力だけの話ではありません。
職場の人間関係や心理的な安心感にも関係するため、健康経営の視点から考えても重要なテーマです。
仕事上のストレスは、仕事量だけで決まるわけではありません。
人間関係、上司との関係、職場の雰囲気、コミュニケーションなど、さまざまな要因が関係します。
厚生労働省も、メンタルヘルス対策における職場環境改善の視点として、仕事の量や質だけでなく、人間関係、ハラスメント、コミュニケーション、職場の組織や文化などを挙げています。
だからこそ、健康経営というと「運動」「食事」「健康診断」だけをイメージするのではなく、
「安心して相談できる」
「困ったときに助け合える」
「上司と部下がお互いの状態を理解できる」
といった、人間関係やコミュニケーションの環境づくりも大切になります。
EQを高める取り組みは、その土台づくりの一つになり得ます。
大切なのは、社員全員に「もっとEQを高めましょう」と求めることではありません。
まず管理職が自分自身の感情に気づく。
部下の話を最後まで聞く。
相手の立場を考えて伝え方を変える。
そうした小さな行動を積み重ねていくことです。
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まとめ
EQとは、自分や周囲の人の感情を理解し、その感情を適切に扱いながら、より良い行動を選択する力です。
職場では、
・自分の感情に気づく
・感情に任せて行動しない
・相手の立場や感情を考える
・相手に合わせて関わり方を変える
といった力が、人間関係やチームワークにつながっていきます。
人間関係の問題は、「あの人と合わない」で終わらせてしまうと改善が難しくなります。
一方で、自分と相手の感情を理解する視点を持つことで、「どうすれば一緒に働きやすくなるか」を考えられるようになります。
健康経営で目指したいのは、単に病気にならない職場ではありません。
社員が安心して働き、周囲と協力しながら、自分の力を発揮できる職場です。
そのためにも、身体の健康だけでなく「人と人との関係」に目を向けることが、これからの職場づくりではますます重要になっていくでしょう。
参考リンク
EQとは?感情知性について|アドバンテッジリスクマネジメント
企業ストレッチとは
大阪府松原市を拠点にする企業ストレッチは、
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