「健康経営優良法人って、取った方がいいの?」
「健康には興味があるけど、認定を取るほどなのかな?」
「うちは従業員が少ないから、まだ必要ないのでは?」
そう考えている経営者の方も多いかもしれません。
しかし、2026年の今、健康経営優良法人の認定は、単なる「健康に力を入れている会社」というPRだけではなくなってきています。職場のストレスチェック、ハラスメント対策、治療と仕事の両立支援など、企業に求められる職場環境づくりは年々広がっています。
さらに、採用では「どんな会社で働くのか」がより重視されるようになり、健康経営優良法人の認定を就職先選びの判断材料とする人も増えています。
加えて、自治体によっては公共工事や公共調達の入札で、健康経営優良法人を加点評価するケースもあります。
そして現在、健康経営優良法人2027の申請受付が始まっています。中小規模法人部門の申請締切は2026年10月16日です。
「いつか取ろう」ではなく、今だからこそ一度、本気で検討してみる価値があります。
この記事では、なぜ今、健康経営優良法人の認定を取るべきなのかを、制度や社会の変化から解説します。
企業に求められる「健康で安心して働ける環境」は確実に広がっている
健康経営について考えるとき、
「社員のために健康診断をする」
「運動イベントをする」
「健康セミナーを開催する」
といった健康施策をイメージするかもしれません。
もちろん、それも健康経営の一部です。しかし、現在の企業に求められているのは、それだけではありません。
働く人が安心して仕事を続けられるように、職場環境そのものを整えていくことが重要になっています。
例えば、ハラスメント対策。
パワーハラスメント防止のために、事業主には方針の明確化・周知、相談体制の整備、事実確認や再発防止などの措置が求められています。セクシュアルハラスメントや妊娠・出産、育児・介護休業等に関するハラスメントについても、事業主に必要な防止措置が義務付けられています。
そして2026年4月からは、病気を抱える労働者の「治療と就業の両立支援」が事業主の努力義務になりました。
病気になった社員が、
「治療するなら仕事を辞めないといけない」
「職場に迷惑をかけるから相談できない」
という状況にならないよう、相談体制や必要な配慮を整えていくことが求められています。
さらにメンタルヘルスについても大きな変化があります。
これまでストレスチェックは、労働者50人以上の事業場に義務付けられていました。
しかし、2025年の法改正によって、50人未満の事業場にも義務化されることが決まり、2028年4月1日から施行される予定です。
つまり、「健康経営をやるか、やらないか」という話だけではなく、
「社員が安心して働ける会社をどう作るか」
ということ自体が、これからの企業経営において重要になっているのです。
健康経営優良法人の認定を目指す過程では、こうした取り組みを会社として整理し、計画的に進めるきっかけをつくることができます。

「健康経営」は採用でも無視できない存在になっている
もう一つ、経営者の方に知っておいてほしいのが「採用」です。
人材採用が難しくなっている会社にとって、「健康経営は社員の健康のため」だけではありません。
「選ばれる会社になるための取り組み」という視点も重要になっています。
経済産業省の資料では、就活生・転職者900人を対象とした調査で、企業が健康経営に取り組んでいることや、健康経営優良法人の認定を取得していることが「就職先を決める際の決め手になる」と回答した人が60.4%いました。
「最も重要な決め手になる」が8.4%、「重要な決め手の一つになる」が52.0%。
合わせて約6割です。
もちろん、これだけで「健康経営優良法人なら採用できる」と言えるわけではありません。
給与、仕事内容、勤務地、企業文化、人間関係など、会社選びにはさまざまな要素があります。
それでも、「この会社は社員の健康や働き方を大切にしている」という情報が、求職者にとって判断材料になっていることは無視できません。
特に中小企業では、大企業と給与や知名度だけで競争するのは簡単ではありません。だからこそ、
「社員を大切にしている会社」「安心して長く働ける会社」ということを、客観的に示せる認定制度には意味があります。
健康経営優良法人は、まさにその「見える化」のために作られた制度です。
「社員のため」だけではない。取引先や入札にも影響する
健康経営優良法人のメリットは、採用だけではありません。自治体などによっては、健康経営優良法人を公共工事や公共調達の入札における加点評価の対象としているケースがあります。
経済産業省がまとめた事例では、栃木県、岩見沢市、江別市、米沢市、松本市、豊橋市、尼崎市などで、入札参加資格や総合評価等において健康経営関連の取り組みを評価する事例が紹介されています。
ここは特に、建設業・製造業・地域密着型企業にとって重要なポイントです。
もちろん、すべての入札で加点されるわけではありません。自治体や案件によって条件は異なります。
しかし、「健康経営なんて、うちの売上には関係ない」とは言い切れない時代になっています。
今後、取引先から、「健康経営に取り組んでいますか?」「健康経営優良法人ですか?」
と聞かれる可能性も考えておく必要があります。健康経営は、社内の福利厚生だけではなく、
採用・取引・入札・企業ブランドにも関係する経営テーマになりつつあります。
従業員が少ない会社ほど、今年は検討する価値がある
「うちは従業員が10人しかいないから、健康経営優良法人は関係ない」これは、もう当てはまりません。
健康経営優良法人には「中小規模法人部門」があり、さらに2025認定からは、特に小規模な事業者を対象とした「小規模事業者向け特例」が導入されています。
この特例は、自社の課題を踏まえて優先度の高い健康経営の取り組みに注力してもらうことを目的とした、試験的な制度です。
対象となる法人には、例えば「製造業その他で常時使用する従業員20人以下」などの区分があります。
そして、この特例について重要なのが、「3年以内での見直しを想定している」という点です。
つまり、「今後もずっと現在と同じ条件で申請できる」とは限りません。
2025年に始まった特例なので、2026年の現在はまだ制度の初期段階です。
だからといって、「今年を逃したら絶対に取れない」という意味ではありません。
しかし、今の制度を利用して認定取得を目指す価値があることは間違いありません。
特に、「健康経営をやってみたいけど、何から始めればいいか分からない」という5〜20人程度の会社にとっては、
まず認定制度を一つの目標にして、自社の健康課題を整理するという方法があります。
そして、健康経営優良法人2027の申請はもう始まっている
ここが、今回の記事で一番伝えたいところです。「健康経営はいつかやればいい」ではありません。
現在、健康経営優良法人2027の申請受付が始まっています。中小規模法人部門の申請受付は2026年8月17日から10月16日まで。認定発表は2027年3月中旬頃の予定です。
つまり、この記事を読んでいる時点ですでに申請期間に入っています。
「来年から考えよう」としている間に、今年の申請機会は終わってしまいます。
もちろん、何も準備していない会社が急いで申請すればいいという話ではありません。
健康経営優良法人は、名前だけ取得すればいい制度ではありません。自社の健康課題を把握し、具体的な取り組みを行い、その取り組みを継続していくことが重要です。だからこそ、
認定を取ることをゴールにするのではなく、認定をきっかけに会社の仕組みを整える。この考え方が大切です。

健康経営優良法人の認定は「ゴール」ではなく「会社を変えるきっかけ」
健康経営というと、
「健康診断を受けてもらう」
「ストレッチをする」
「ウォーキングイベントをする」
といった施策に目が向きがちです。
しかし、本当に大切なのは、「なぜ、この会社は健康経営をするのか?」という目的です。例えば、
「社員が安心して長く働ける会社にしたい」
「採用した人材に長く活躍してほしい」
「社員が健康上の理由で仕事を諦めることを減らしたい」
「一人ひとりが力を発揮できる組織にしたい」
という目的がある。その目的から逆算して、
健康診断
↓
生活習慣
↓
身体の不調
↓
メンタルヘルス
↓
ハラスメント
↓
両立支援
↓
職場環境
↓
働き方
といった課題を整理していく。そうすると、健康経営は単なる「健康イベント」ではなく、
人材を守り、組織を強くし、会社の未来をつくる取り組みになっていきます。
「今年、取るべき?」と迷っているなら、まず現状を確認してみてください
健康経営優良法人の認定を取るか迷っているなら、まず次の項目を確認してみてください。
| 確認したいこと | 会社の現状 |
|---|---|
| 健康診断 | 受診状況を把握できているか |
| ストレス | 社員のストレス状態を把握する仕組みがあるか |
| ハラスメント | 方針・相談窓口・対応体制が整っているか |
| 両立支援 | 病気になった社員が相談できる環境があるか |
| 働き方 | 長時間労働や休暇取得などを把握しているか |
| 健康課題 | 自社で何が問題なのか把握できているか |
| 施策 | 課題に対して具体的な取り組みをしているか |
| 経営者 | 健康経営を経営課題として捉えているか |
「意外とできている」という会社もあれば、「ほとんど仕組みがない」
という会社もあるでしょう。どちらの場合でも、一度整理してみる価値があります。
なぜなら、健康経営優良法人の認定を目指すことによって、
今までバラバラだった取り組みを、一つの経営戦略として整理できるからです。

まとめ|健康経営優良法人は「今年取る」からこそ意味がある
健康経営優良法人の認定は、単なる「健康な会社の証明」ではありません。
現在の企業には、ストレスチェック、ハラスメント対策、治療と仕事の両立支援など、社員が安心して働くための環境整備が求められています。
さらに、健康経営への取り組みは採用における企業選びの材料にもなり、自治体によっては入札などで評価されるケースもあります。
そして、健康経営優良法人2027の申請はすでに始まっています。
中小規模法人部門の締切は2026年10月16日です。特に小規模事業者向け特例は2025年認定から始まった試験的な制度で、3年以内の見直しが想定されています。
だからこそ、「いつか取れたらいい」ではなく、「今年、自社も健康経営優良法人を目指してみる」
という判断には大きな意味があります。
ただし、認定を取ること自体が目的になってはいけません。大切なのは、
認定をきっかけに、社員が安心して働き、長く活躍できる会社をつくること。
その結果として、
採用力が高まり、
人材が定着し、
職場の安心感が高まり、
会社の組織力が高まっていく。
健康経営は、そこまで含めて考えるものだと思います。
「自社は健康経営優良法人を取れるのか?」
「何から始めればいいのか?」
「今からでも間に合うのか?」
そう感じている経営者の方は、まず一度、自社の現状を整理してみてください。
健康経営優良法人の認定は、会社を変えるための「ゴール」ではなく、会社を変え始めるためのスタートラインになるかもしれません。
健康経営優良法人の認定取得について、現状分析から取り組み内容の整理、申請までサポートしています。
経済産業省職場におけるハラスメントの防止のために|厚生労働省
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