「心技体」という言葉を聞いたことはありますか?
心を鍛え、技術を磨き、身体を鍛える。スポーツだけでなく、仕事にも通じる考え方ですよね。
では、この3つは何から整えるとよいのでしょうか。
2025年2月、イチローさんはイベントで「よく『心技体』と言われるが、僕の場合は『体』が最初にくる」と語りました。元気であることが、何かに取り組むための土台になるという考え方です。
この言葉は、会社づくりにも通じるものがあるのではないでしょうか。
まず身体が整っていなければ、力を発揮しにくい
仕事で成果を出すためには、知識や技術が必要です。困難に向き合う気持ちや、周囲と協力する姿勢も欠かせません。
しかし、どれだけ能力があっても、疲労が蓄積していたり、睡眠が不足していたりすると、本来の力を発揮しにくくなることがあります。
例えば、こんな場面はないでしょうか。
- 寝不足で、いつもならしないようなミスをしてしまう
- 疲れがたまり、仕事への集中力が続かない
- 身体の不調が気になり、目の前の仕事に集中できない
- 余裕がなくなり、周囲への気配りが難しくなる
こうした状態では、本人が努力していても、持っている能力を十分に発揮できない可能性があります。
もちろん、身体の状態だけですべてが決まるわけではありません。それでも、社員が持っている力を発揮できる状態を整えることは、会社にとって大切な取り組みです。
心技体は、仕事にも当てはまる
心技体を仕事に置き換えると、それぞれ次のように考えられます。
| 要素 | 仕事に置き換えると |
|---|---|
| 体 | 健康状態、体力、睡眠、疲労回復 |
| 心 | 意欲、安心感、気持ちの余裕、挑戦する姿勢 |
| 技 | 知識、技術、経験、仕事の進め方 |
例えば、製造現場で新しい技術を身につけようとする社員がいたとします。
技術を学ぶ機会があっても、疲労が強く集中できなければ、学習が思うように進まないかもしれません。
また、身体の調子が良くても、失敗を責められる不安が強ければ、分からないことを質問したり、新しいことに挑戦したりするのが難しくなる場合もあります。
つまり、身体・心・技のどれか一つだけを整えればよいわけではありません。
身体の状態を土台に、安心して働ける環境を整え、学びや成長の機会をつくる。
この3つをつなげて考えることが、社員が力を発揮できる会社づくりにつながります。

会社は、社員の身体を整えるために何ができる?
「身体が大切なのは分かるけど、会社として何をすればいいの?」
そう感じる経営者や担当者の方もいると思います。
大がかりな制度や設備を導入する前に、まずは身近なところから見直してみましょう。
① 疲労をため込まない働き方を考える
長時間労働や休憩の取りにくさなど、疲労が蓄積しやすい状況がないか確認してみましょう。
休憩を取りやすくする、業務量を見直す、必要なときに休める体制をつくる。こうした取り組みも、社員の健康を支える重要な要素です。
② 身体を動かす機会をつくる
デスクワークや同じ姿勢が続く仕事では、意識しないと身体を動かす機会が少なくなりがちです。
仕事の合間に立ち上がる、短時間の体操を取り入れる、ウォーキングやストレッチを行うなど、職場に合った方法を考えてみましょう。
厚生労働省も、日常生活の中で今より少しでも身体を動かすことや、座りっぱなしの時間を長くしすぎないことを勧めています。
ただし、身体を動かす取り組みだけで、長時間労働や人手不足などの問題を補えるわけではありません。職場環境そのものを見直すことも大切です。

③ 健康について学び、実践につなげる
睡眠、食事、運動、腰痛予防など、健康に関する知識を学ぶ機会を設けることも一つです。
ただし、研修を実施して終わりでは、日常の行動はなかなか変わりません。
社員が自分の生活を振り返り、無理なく実践できることを見つけられるようにする。さらに、実践しやすい職場環境を整えることで、取り組みを継続しやすくなります。
メンタルから入る手法も勿論良い。
身体を動かそうにも、心が付いてこない方も勿論おられるでしょう。
③や、他の事を学ぶ中で(例えば、両親への感謝から気力が出る人もいます)
心→身体や、技→心→身体
も勿論あります。
どちらにせよ、前向きな気持ちで何か少しでも出来る事を見つける姿勢が
大切に思います。
健康経営は、社員が力を発揮できる仕組みづくり
健康経営というと、健康診断の受診率を高めたり、運動イベントを開催したりすることをイメージする方もいるかもしれません。
もちろん、それらも大切な取り組みです。
しかし、目指したいのは、健康に関する取り組みを実施すること自体ではなく、社員が安心して働き、自分の力を発揮できる会社をつくることではないでしょうか。
社員の健康状態を把握する。働き方や職場環境を見直す。必要な知識を学ぶ機会をつくる。そして、実施した取り組みが役立っているかを確認し、改善していく。
こうした積み重ねが、社員の健康を支えるとともに、組織づくりにもつながっていきます。
大切なのは、社員個人の努力だけに任せないことです。
「運動しましょう」「健康に気をつけましょう」と伝えるだけでなく、社員が実践しやすい環境を会社が整える。そこに、健康経営の大切な役割があります。

まとめ
イチローさんの「心技体」の話から考えたいのは、何かに取り組むためには、まず元気であることが大切だという視点です。
仕事でも、身体の状態は、心の余裕や技術を発揮することに関係します。
だからこそ、社員の健康を個人任せにするのではなく、会社として支える仕組みを考えてみてはいかがでしょうか。
身体を整え、安心して働ける環境をつくり、成長する機会を支える。
心技体を一体として捉えることが、社員が安心して活躍できる会社づくりの第一歩になるかもしれません。
参考リンク
- イチローさんの発言について:イチロー氏が生涯現役の秘訣を語る「僕の場合は『体』が最初にくる」(デイリースポーツ)
- 身体活動を増やす具体的なヒント:アクティブガイド2023(厚生労働省 e-ヘルスネット)
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