「長時間労働を減らしましょう。」最近、この言葉を耳にする機会が増えたのではないでしょうか。
働き方改革や健康経営の普及により、企業には社員が健康に働ける環境づくりが求められています。
さらに、健康経営優良法人認定制度でも、長時間労働への対応は重要な評価項目となっています。
2027認定では、「長時間労働の予防」と「長時間労働者への事後対応」の両方が求められる予定であり、今後さらに重要性が高まることが予想されます。
今回は、長時間労働とは何時間からなのか、法律の考え方や健康リスク、健康経営との関係、そして企業で実践できる改善方法まで分かりやすく解説します。
長時間労働とは?
労働安全衛生法や厚生労働省では、健康管理の基準として時間外・休日労働時間が示されています。
企業が特に注意すべき目安は次のとおりです。
| 時間外・休日労働時間(月) | 健康リスク・企業の対応 |
|---|---|
| 45時間以内 | 法律上の原則的な上限。健康管理を継続する。 |
| 45時間超 | 長時間労働の傾向。業務改善を検討する。 |
| 80時間超 | 過労死ラインの目安。医師による面接指導の対象となる場合がある。 |
| 100時間前後 | 心疾患・脳血管疾患などのリスクが高まるとされる。早急な対応が必要。 |
特に、時間外・休日労働が月80時間を超える状態は、「過労死ライン」と呼ばれることもあり、企業として重点的な対応が必要になります。

長時間労働に関する法律はいつから始まった?
長時間労働対策が大きく変わったのは、2019年4月から順次施行された「働き方改革関連法」です。
この法改正により、時間外労働の上限規制が法律として定められました。原則として、
- 時間外労働は月45時間以内
- 年360時間以内
となっています。繁忙期など特別な事情がある場合でも、
年間720時間以内。
単月100時間未満(休日労働含む)。
複数月平均80時間以内。
という上限があります。つまり、「忙しいから残業しても仕方ない」という時代から、
「長時間労働を防ぐことが企業の責任」という時代へ変わっています。
健康経営優良法人でも重要な評価項目
健康経営優良法人認定制度でも、長時間労働対策は重要視されています。2027年の中小規模法人部門では、
長時間労働の予防または事後対応のいずれかを実施していれば評価項目を満たす仕組みとなっています。
例えば、予防として、
勤務時間の把握
ノー残業デー
業務改善
有給休暇取得促進
などがあります。
一方で事後対応としては、
長時間労働者への面談
産業医との連携
健康相談
再発防止の取り組み
などが挙げられます。
しかし、健康経営優良法人2028では、予防と事後対応の両方を実施することが評価要件となる方向で検討されています。つまり、「残業した後に対応する」だけではなく、「そもそも長時間労働を発生させない仕組みづくり」が今後さらに重要になります。
健康経営優良法人2027は何が変わる?第6回健康経営推進検討会の内容を分かりやすく解説
https://kenko-stretch.com/health-management-2027-update/
長時間労働が続くとどんなリスクがある?
長時間労働は、単に疲れるだけではありません。社員の健康だけでなく、会社全体へ大きな影響を与えます。
例えば、
疲労の蓄積
睡眠不足
集中力の低下
ミスや事故の増加
メンタルヘルス不調
高血圧や糖尿病など生活習慣病
心疾患・脳血管疾患
休職・離職
労災リスク
採用力の低下
など、多くの問題につながります。また、長時間働けば成果が出るとは限りません。
疲労が蓄積すると判断力や集中力が低下し、同じ仕事でも効率が落ちることが分かっています。
つまり、「長く働くこと」が生産性向上につながるのではなく、健康な状態で集中して働くことが企業にとっても社員にとっても大切なのです。

長時間労働を減らすために企業ができること
長時間労働は、社員に「早く帰ってください。」と声を掛けるだけでは改善しません。
大切なのは、長時間労働になる原因を見つけることです。例えば、
業務量が多すぎる
担当者へ仕事が集中している
会議が多い
無駄な資料作成が多い
紙での作業が多い
人手不足
など、会社によって原因はさまざまです。
まずは、「なぜ残業が発生しているのか」を把握することが改善の第一歩になります。
① 勤務時間を「見える化」する
最初に取り組みたいのが、勤務時間の見える化です。タイムカードや勤怠システムを活用し、
部署ごと
個人ごと
曜日ごと
繁忙期
などを分析してみましょう。「毎月同じ部署だけ残業が多い。」「月末だけ極端に増えている。」
このような傾向が見えてくることがあります。データを見える化することで、改善策も立てやすくなります。
② 業務を見直す
長時間労働は、仕事が多いことだけが原因ではありません。例えば、
「この会議、本当に必要?」
「この資料は毎月作る必要がある?」
「紙ではなくデータ化できないか?」
こうした業務の棚卸しを行うだけでも、残業時間が減ることがあります。また、特定の社員だけに仕事が集中していないかを確認することも重要です。業務を分散することで、一人に負担が偏ることを防げます。
③ 管理職の意識を変える
長時間労働を減らすには、管理職の役割も非常に重要です。例えば、
部下の勤務時間を確認する
業務量を調整する
残業前提の仕事を見直す
有給休暇を取得しやすい雰囲気を作る
こうした取り組みは、現場の働き方へ大きく影響します。
健康経営では、管理職研修を実施している企業も多くあります。
「部下を健康に働かせること」も管理職の重要な役割になっています。
④ 健康づくりも長時間労働対策になる
一見関係ないように思えますが、健康づくりも長時間労働対策につながります。
例えば、
肩こりや腰痛が改善することで集中力が上がる
睡眠の質が改善し、疲れが残りにくくなる
適度な運動でストレスが軽減する
こうした変化によって、仕事の効率が上がり、結果として残業時間の削減につながるケースもあります。
健康経営は、「健康のためだけ」ではなく、生産性向上のための取り組みでもあるのです。
無料で相談できる機関も活用しよう
長時間労働対策について悩んだら、企業だけで抱え込む必要はありません。
産業保健総合支援センター(さんぽセンター)
地域産業保健センター(地さんぽ)
健康保険組合協会けんぽ
などでは、長時間労働対策や健康管理について無料で相談できます。
企業ストレッチでは、
健康課題の整理
健康経営優良法人認定サポート
健康施策の企画・運営
職場ストレッチ
管理職研修
などを通じて、健康づくりと働き方改善を一緒にサポートしています。
健康経営優良法人認定サポート
https://kenko-stretch.com/kenko-keiei-nintei-support/

まとめ
長時間労働は、社員の健康だけではなく、企業の生産性や採用、定着にも大きく影響します。
また、健康経営優良法人認定制度でも、今後は**「予防」と「事後対応」の両方**が求められる予定です。
そのため、残業した後の対応だけではなく、長時間労働を発生させない仕組みづくりがこれまで以上に重要になります。まずは、
勤務時間を把握すること
原因を分析すること
業務を見直すこと
管理職の意識を変えること
こうした小さな改善の積み重ねが、働きやすい職場づくりにつながります。
長時間労働対策は、社員を守るためだけでなく、会社の未来を守るための重要な経営課題と言えるでしょう。
参考リンク
- 厚生労働省|時間外労働の上限規制 わかりやすい解説
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/000463185.pdf - 厚生労働省|長時間労働者への医師による面接指導制度について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000058559.html - 経済産業省|第6回 健康経営推進検討会
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/006.html - 経済産業省|健康経営について
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenko_keiei.html
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