「求人を出しても応募が来ない。」
「採用できてもすぐ辞めてしまう。」
「採用費ばかり増えて利益につながらない。」
このような悩みを抱えている中小企業は少なくありません。
近年は求人媒体への掲載費や人材紹介会社への成功報酬も高騰し、採用活動そのものが経営課題になっています。
そんな中、今注目されている採用手法が「リファーラル採用」です。
リファーラル(Referral)とは「紹介」という意味です。
つまり、社員が友人や知人、元同僚などを会社へ紹介し、その紹介をきっかけに採用する方法です。
大企業だけではなく、中小企業でも取り組む企業が増えており、「採用コストを抑えながら、定着率も高い採用方法」として注目されています。
しかし、私はリファーラル採用の本当の価値は、単なる採用手法ではないと思っています。
社員が「この会社で働けて良かった」と思える会社づくりの結果として生まれる採用方法なのです。
リファーラル採用はなぜ注目されているのか
現在、日本では少子高齢化による労働人口の減少が続いています。
さらにインターネットやSNSが発達した一方で、人と人とのリアルなつながりは以前より少なくなりました。
昔は、
「知り合いの会社で働いてみない?」
そんな紹介が自然に行われることも多くありました。
しかし現在では転職サイトや求人媒体を利用することが当たり前になり、人とのつながりから就職する機会は減っています。
だからこそ、信頼できる人から紹介される会社には、大きな安心感があります。
紹介する社員も、
「この会社なら安心して紹介できる。」
そう思える会社だからこそ、大切な友人や家族を紹介します。
つまりリファーラル採用は、人とのつながりを活かした採用方法とも言えるのです。
採用コストはどれくらい変わる?
一般的な採用では、求人広告や人材紹介会社を利用することが多くあります。
一方、リファーラル採用では求人広告費がほとんど不要となり、紹介制度の報酬程度で済むケースもあります。
もちろん業種や職種によって差はありますが、一般的には以下のような違いがあります。
| 採用方法 | 採用コスト目安(1人あたり) | 定着率 |
|---|---|---|
| 求人広告 | 20〜80万円 | 普通 |
| 人材紹介 | 年収の30〜35%(80〜150万円程度) | 普通 |
| リファーラル採用 | 5〜20万円程度(紹介制度含む) | 高い |
採用条件によって異なりますが、人材紹介会社と比較すると採用コストが約1/10程度になるケースもあります。
もちろん、「安いから良い」という話ではありません。
本当に重要なのは、その後長く働いてくれることです。
採用して数か月で退職してしまえば、採用コストだけでなく教育コストも失われます。
その点、リファーラル採用では会社の雰囲気を理解したうえで入社するため、入社後のギャップが少なく、定着率が高い傾向があります。

本当に大切なのは「会社のファン」をつくること
ここで一つ考えていただきたいことがあります。
皆さんは、大切な友人や家族に、
「ぜひこの会社へ来てほしい。」
と思えるでしょうか。
もし、
「うちの会社は忙しいし…。」
「人間関係もあまり良くないし…。」
そんな気持ちが少しでもあるなら、紹介したいとは思わないはずです。
逆に、
「働きやすい。」
「困った時は助けてもらえる。」
「成長できる会社。」
そんな会社であれば、自信を持って紹介できます。
つまり、リファーラル採用とは採用活動ではなく、会社のファンづくりなのです。
社員満足度が高まれば、
「友人にも紹介したい。」
という気持ちが自然に生まれます。
そして、その積み重ねがエンゲージメントの向上にもつながります。
社員が会社へ愛着を持ち、「この会社をもっと良くしたい」と思える組織ほど、リファーラル採用は成功しやすいのです。
まずは「定着する会社」をつくることが最優先
「リファーラル採用を始めよう」そう考えた時、多くの会社は紹介制度から作ろうとします。
紹介した社員へ報奨金を出したり、社内へ制度を案内したりする企業もあります。
しかし、それだけではうまくいきません。
なぜなら、社員は制度があるから紹介するのではなく、
「紹介したい会社だから紹介する」
からです。例えば皆さんは、自分の家族や親友に、
「ぜひうちの会社へ来てほしい。」
と胸を張って言えるでしょうか。
もし迷うのであれば、紹介制度ではなく会社の中身を見直すことが先になります。
働きやすい職場なのか。
困った時に相談できる雰囲気があるのか。
努力が評価される会社なのか。
社員が笑顔で働いているのか。
これらが整って初めて、社員は自信を持って紹介できるようになります。
だから私は、リファーラル採用とは採用活動ではなく、「会社づくり」そのものだと考えています。
https://kenko-stretch.com/kenko-keiei-participation-logic/

どんな人に来てほしいのかを明確にする
もう一つ重要なのが、
「どんな人材を採用したいのか」を明確にすることです。
「真面目な人。」
「元気な人。」
だけでは、社員も紹介しにくくなります。
例えば製造業であれば、
「仲間と協力しながら改善活動を楽しめる人。」
介護業界なら、
「人と関わることが好きで、相手の立場で考えられる人。」
IT企業なら、
「新しいことへ挑戦し続けられる人。」
このように人物像まで具体的にすることで、社員も
「それならあの人が合いそう。」
と紹介しやすくなります。
採用活動は人数を増やすことではありません。会社に合う人材と出会うことが、本当の目的です。
「どんな会社」と伝えてほしいかを考える
リファーラル採用では、社員が会社の魅力を友人へ伝えます。
だからこそ、会社として
「どんな会社だと伝えてほしいか」
を整理しておくことも重要です。例えば、
「社員同士が助け合う会社。」
「挑戦を応援してくれる会社。」
「健康を大切にしている会社。」
「未経験でも成長できる会社。」
などです。ここで気を付けたいのは、良く見せようとし過ぎないことです。
実際には違うのに、
「残業はありません。」
「みんな仲良しです。」
そんなメッキを貼っても、入社後には必ず剥がれてしまいます。その結果、
「思っていた会社と違った。」
となり、早期離職につながります。
だからこそ、本当に会社が大切にしている価値観を伝えることが大切です。
その価値観に共感した人が入社することで、お互いに幸せな採用になります。
入社して終わりではない
採用活動は、採用できた瞬間がゴールではありません。本当のスタートは、入社してからです。
入社初日の受け入れ体制。
教育の進め方。
困った時に相談できる環境。
定期的な面談。
こうした仕組みがあることで、新しく入社した社員も安心して働くことができます。そして、
「この会社へ入って良かった。」
と思えるようになります。
その社員が数年後、
「友達も誘ってみようかな。」と言ってくれる。
これこそが、リファーラル採用が自然と回り始める理想の状態です。
採用だけを考えるのではなく、定着まで含めて設計することが、成功への近道になります。

リファーラル採用は健康経営とも相性が良い
私は健康経営の支援を行っていますが、リファーラル採用と健康経営は非常に相性が良いと感じています。
健康経営に取り組む会社では、
社員同士のコミュニケーションが増えたり、
働きやすい環境づくりが進んだり、
会社への愛着が高まったりします。
その結果、「この会社なら紹介したい。」という社員が増えていきます。
つまり、健康経営によってエンゲージメントが高まり、それがリファーラル採用にもつながる好循環が生まれるのです。
採用だけを目的にするのではなく、会社そのものを良くしていくことが、結果として最も強い採用活動になります。
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まとめ
リファーラル採用は、採用コストを抑えるためだけの仕組みではありません。
社員が会社を好きになり、「大切な人にも働いてほしい」と思える会社づくりの結果として生まれる採用方法です。
紹介制度だけを整えても、中身が伴っていなければ長続きはしません。
まずは社員が安心して働き、定着する会社をつくること。
どんな人材を採用したいのかを明確にすること。
そして、「どんな会社」と伝えてもらいたいのかを整理し、その言葉に恥じない会社づくりを続けること。
その積み重ねが、採用コストを抑えるだけでなく、定着率や生産性の向上、エンゲージメントの向上にもつながっていきます。
「この会社なら、自分の友達や家族にも安心して勧められる。」
そんな会社を目指すことが、リファーラル採用成功への一番の近道なのではないでしょうか。
参考リンク
厚生労働省「令和5年雇用動向調査」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/9-23-1.html
厚生労働省「職場情報総合サイト(しょくばらぼ)」
https://shokuba.mhlw.go.jp/
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