企業で健康診断を担当していると、
「一般健康診断と特定健診って何が違うの?」
「二次健診って受けた方がいいの?」
「結果は何年間保存すればいいの?」
このような疑問を持つことはありませんか?
健康診断にはさまざまな種類があり、それぞれ目的や対象者、法律、保存期間が異なります。
健康経営に取り組む企業が増えている今、「受診させること」だけではなく、その後の健康づくりまで活用することが重要になっています。
今回は、企業担当者が知っておきたい健康診断の種類や違いについて、表を交えながら分かりやすく解説します。(厚生労働省)
健康診断の種類一覧
まずは、それぞれの違いを一覧で見てみましょう。
| 種類 | 対象者 | 主な目的 | 費用目安 | 保存期間 |
|---|---|---|---|---|
| 一般健康診断(定期健康診断) | 常時使用する労働者 | 労働者の健康管理 | 5,000~15,000円 | 5年 |
| 雇入時健康診断 | 新規採用者 | 採用時の健康確認 | 5,000~12,000円 | 5年 |
| 特殊健康診断 | 有害業務従事者 | 職業病の予防 | 内容による | 5~40年(項目による) |
| 特定健康診査(特定健診) | 40~74歳 | 生活習慣病予防 | 保険者負担 | 保険者が管理 |
| 特定保健指導 | 特定健診の結果対象者 | 生活習慣改善支援 | 保険者負担 | 保険者が管理 |
| 二次健康診断等給付 | 条件を満たす労働者 | 脳・心臓疾患予防 | 本人負担なし(条件あり) | 制度に基づき管理 |
同じ「健康診断」という名前でも、目的は大きく異なります。
一般健康診断(定期健康診断)
企業で最も実施されているのが一般健康診断です。一般健診とも呼ばれます。
労働安全衛生法では、常時使用する労働者に対して、年1回健康診断を実施することが事業者に義務付けられています。
主な検査項目は、
・身長・体重・BMI
・視力・聴力
・血圧
・血液検査
・尿検査
・胸部X線
心電図(対象者)
などです。
目的は病気を見つけることだけではありません。
健康状態を把握し、就業上の配慮や健康管理につなげることも大切な役割です。
健康診断結果は5年間保存する必要があります。
雇入時健康診断
新しく社員を採用した際にも健康診断が必要です。これが「雇入時健康診断」です。
基本的な検査項目は一般健康診断とほぼ同じですが、実施するタイミングが異なります。
入社前または入社時に実施し、その後は定期健康診断へ移行します。こちらも健康診断結果は5年間保存します。
特殊健康診断とは?
一般健康診断とは別に、有害な業務に従事する方には特殊健康診断があります。
例えば、
・有機溶剤
・鉛
・石綿(アスベスト)
・電離放射線
・特定化学物質
などを扱う業務です。
これらは長期間の曝露によって健康被害が起こる可能性があるため、通常の健康診断では確認できない項目まで詳しく検査します。
特殊健康診断は、一般健康診断より保存期間が長いものがあります。
例えば石綿健康診断では、健康障害が数十年後に発症することもあるため、40年間保存が必要なケースもあります。業務内容によって保存期間が異なるため、自社が該当する業務を行っている場合は確認しておきましょう。

健康診断は受けるだけでは意味がない
健康診断は「受けたら終わり」ではありません。例えば、
・血圧が少し高かった
・腰痛が悪化している
・体重が毎年増えている
・肝機能の数値が少し悪くなってきた
こうした小さな変化に気付き、早めに生活習慣を改善することが重要です。
健康診断は病気を見つけるだけではなく、「病気にならないため」のきっかけでもあります。
企業としても結果を活用し、社員の健康づくりにつなげることで、欠勤や休職の予防、生産性向上にもつながります。
特定健康診査(特定健診)とは?
一般健康診断とよく混同されるのが「特定健康診査(特定健診)」です。
特定健診は、高齢者の医療の確保に関する法律に基づいて実施されており、
40~74歳の医療保険加入者を対象としています。
目的は、生活習慣病の予防です。
特に、
・メタボリックシンドローム
・高血圧
・糖尿病
・脂質異常症
などのリスクを早期に見つけることを目的としています。
一般健康診断が「労働者の健康管理」であるのに対し、特定健診は「生活習慣病予防」が主な目的です。
会社が実施する定期健康診断と、健康保険組合や協会けんぽが実施する特定健診は制度が異なりますが、一定の条件を満たせば定期健康診断の結果を特定健診として活用できる場合もあります。
特定保健指導とは?
特定健診を受けた後、
・腹囲
・BMI
・血糖値
・血圧
・脂質
などから生活習慣病のリスクが高いと判断された方には、「特定保健指導」が行われます。
これは病気を治療するものではなく、
病気になる前に生活習慣を改善するためのサポートです。
管理栄養士や保健師などが、
・食生活
・運動習慣
・睡眠
・飲酒
・喫煙
などについてアドバイスを行います。
「少しずつ生活を変えていきましょう」という一次予防の考え方が中心になります。
二次健康診断等給付(労災二次健診)とは?
一般健康診断の結果によっては、労災保険による二次健康診断等給付を利用できる場合があります。
これは、脳・心臓疾患を予防することを目的とした制度です。
対象となるには、定期健康診断で
・血圧
・血中脂質
・血糖
・BMI(肥満)
の4項目すべてに異常所見が認められるなど、一定の要件を満たす必要があります。
対象となる方は、
- 詳しい検査
- 医師による指導
を自己負担なしで受けることができます。
「健康診断で異常があったけれど、そのまま放置してしまう」
ということを防ぐための制度です。

健康診断結果の保存期間を整理しよう
企業担当者が迷いやすい保存期間をまとめると、次のようになります。
| 健康診断 | 保存期間 |
|---|---|
| 一般健康診断 | 5年間 |
| 雇入時健康診断 | 5年間 |
| 特殊健康診断 | 5~40年間(検査内容による) |
| 特定健康診査 | 保険者が管理 |
| 特定保健指導 | 保険者が管理 |
| 二次健康診断等給付 | 医療機関・制度に基づき管理 |
一般企業では、
「健康診断結果は5年間保存」
と覚えておけば、多くの場合は対応できます。
ただし、有害業務を行っている企業では特殊健康診断の保存期間を必ず確認しましょう。
健康診断は「受ける」から「活かす」時代へ
健康診断は実施することがゴールではありません。
例えば、
・腰痛が多い社員が増えている
・肥満傾向の社員が多い
・高血圧の割合が増えている
・ストレスチェックでも疲労感が高い
このような結果が見えてきたら、会社として改善策を考えることが重要です。
例えば、
・ストレッチの実施
・ウォーキングイベント
・食生活セミナー
・熱中症対策
・ラインケア研修
・メンタルヘルス研修
などを組み合わせることで、健康診断の結果を「健康づくり」に活かすことができます。
健康経営では、このようなPDCAサイクルが重要です。
- 健康診断で現状を把握する
- 課題を分析する
- 健康施策を実施する
- 翌年の健康診断で効果を確認する
この流れを毎年繰り返すことで、社員の健康だけでなく、生産性向上や離職防止にもつながります。

まとめ
健康診断には、
- 一般健康診断
- 雇入時健康診断
- 特殊健康診断
- 特定健康診査
- 特定保健指導
- 二次健康診断等給付
など、さまざまな制度があります。
それぞれ目的や対象者が異なるため、「どの健康診断なのか」を理解することが大切です。
また、企業にとって重要なのは、健康診断を「受けること」ではなく、「活かすこと」です。
健康診断の結果から職場の課題を見つけ、ストレッチや運動、食生活改善、メンタルヘルス対策などの健康施策につなげていくことで、社員が安心して長く働ける職場づくりにつながります。
健康経営は一度の取り組みで終わるものではありません。
毎年の健康診断を活用しながら、小さな改善を積み重ねていくことが、健康で活力ある組織づくりへの第一歩となるでしょう。
厚生労働省
労働安全衛生法に基づく健康診断
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05927.html
e-Gov法令検索
労働安全衛生規則
https://elaws.e-gov.go.jp
厚生労働省
特定健康診査・特定保健指導https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/seikatsu
全国健康保険協会(協会けんぽ)
健診のご案内
https://www.kyoukaikenpo.or.jp
厚生労働省
二次健康診断等給付制度
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000189694.html
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