「最近、以前より体調が安定しない」「急に汗が出て、仕事に集中できない」「眠りが浅く、疲れが取れない」
「理由は分からないけれど、イライラしたり気分が落ち込んだりする」
40代から50代にかけて、このような不調に悩む方は少なくありません。
こうした不調の背景の一つにあるのが、更年期です。
更年期というと、「本人が我慢して乗り切るもの」と考えられてきた時代もありました。
しかし、症状によっては仕事のパフォーマンスに影響したり、仕事を続けること自体が難しくなったりする場合もあります。特に40代から50代は、仕事の経験や知識を積み重ね、会社の中でも重要な役割を担っている人が多い年代です。
だからこそ、更年期症状を本人だけの問題として考えるのではなく、会社として働きやすい環境をどう作るかを考えることが大切です。
今回は、更年期症状とはどのようなものなのか、そして会社が気を付けたいポイントについて解説します。
更年期症状は女性だけの問題ではない
「更年期」と聞くと、女性の健康課題というイメージを持つ方も多いかもしれません。
確かに、更年期について広く知られているのは、女性の閉経前後に起こる心身の変化です。
一方で、男性も加齢に伴うホルモンの変化によって、心身にさまざまな不調を感じることがあります。
女性では、ほてりや発汗、疲れやすさ、睡眠の問題、気分の変化などが見られることがあります。
男性でも、疲労感や意欲の低下、睡眠の問題、気分の落ち込みなど、仕事に影響する不調を感じることがあります。
ただし、ここで注意したいのは、同じ年代でも症状の有無や強さには大きな個人差があることです。
「40代だから更年期だろう」「50代だから仕方ない」と決めつけることはできません。
また、体調不良の背景には、更年期以外の病気や健康問題が隠れている場合もあります。
だからこそ会社として大切なのは、性別や年齢だけで判断することではなく、一人ひとりの体調の変化に目を向け、必要に応じて相談や受診につなげられる環境を作ることです。

女性と男性では、起こりやすい変化にも違いがある
更年期世代の健康課題を考えるときは、女性と男性で起こりやすい変化の違いを理解しておくことも大切です。
| 女性 | 男性 | |
|---|---|---|
| 主な背景 | 閉経前後の女性ホルモンの変化 | 加齢に伴う男性ホルモンの変化など |
| 起こり得る変化 | ほてり、発汗、睡眠の問題、疲労感、気分の変化など | 疲労感、意欲の低下、睡眠の問題、気分の落ち込みなど |
| 職場で見えやすい影響 | 集中しにくい、急な体調変化、仕事の継続への不安など | 意欲の低下、疲れやすさ、集中力の変化など |
| 大切な対応 | 症状を決めつけず、相談や受診につなげる | 症状を決めつけず、相談や受診につなげる |
女性と男性で起こりやすい変化には違いがあります。しかし、会社としての基本的な考え方には共通する部分があります。
それは、「本人と対話をする事」です。
女性社員に対して、「更年期だから体調が悪いんだろう」と決めつけない。
男性社員に対しても、「最近元気がないけど、年齢のせいだろう」「男だから弱音を吐きにくいだけだろう」
と見過ごさない。
不調を感じていても、本人が更年期との関係に気付いていないこともあります。
だからこそ、会社側が診断するのではなく、必要な情報を知っておき、相談しやすい環境を作ることが大切です。
会社が最初に気を付けたいのは「性別や年齢で決めつけないこと」
更年期への対応を考えるうえで、会社が最初に気を付けたいのは決めつけです。
「女性だから配慮が必要」「男性は大丈夫」と性別だけで考えることも違います。
反対に、「男性にも更年期があるらしいから、50代は全員気を付けよう」と一括りにすることも適切ではありません。大切なのは、その人自身の状態を見ることです。
以前より疲れやすそうにしている。仕事への集中が難しそう。睡眠不足が続いている。本人から体調面の相談がある。
こうした変化があったときに、「年齢のせいだ」と片付けず、本人が困っていることを確認する。
上司が、
「最近、仕事をするうえで困っていることはありませんか?」
「体調面も含めて、負担になっていることはありますか?」と自然に声をかけられる関係があることが大切です。
ただし、健康に関することは非常にプライベートな情報です。本人が話したくないことまで聞き出す必要はありません。
「何かあれば相談できる」「困ったときに働き方を一緒に考えられる」
という環境を整えることが会社に求められます。

「我慢してください」ではなく、働き続けるための選択肢を用意する
更年期世代の不調によって仕事に影響が出ている場合、「無理しないでください」と言われるだけでは解決しないことがあります。
本人にとっては、
「休みたいけど仕事がある」「周りに迷惑をかけたくない」「体調のことを知られたくない」という悩みもあるかもしれません。だからこそ会社としては、体調が変化したときにも働き続けられる選択肢を用意しておくことが大切です。
| 会社ができること | 具体的な対応例 |
|---|---|
| 相談先を明確にする | 上司、人事、産業保健スタッフなど相談できる相手を明確にする |
| 休みやすくする | 時間単位の休暇や既存制度を利用しやすくする |
| 働き方を調整する | 業務量や勤務時間について相談できるようにする |
| 職場環境を整える | 温度や休憩場所など、体調に合わせて調整しやすくする |
| 受診を後押しする | 不調を我慢し続けず、必要に応じて医療機関へ相談するよう促す |
| 健康教育を行う | 女性・男性それぞれの健康課題について基本的な知識を共有する |
重要なのは、特定の人だけのために大きな制度を新しく作ることではありません。
今ある制度を、体調に変化がある社員も使いやすい形にするだけでも変わります。
また、「更年期だから休みます」と理由を伝えなければ使えない仕組みでは、利用するハードルが高くなることもあります。体調不良や通院など、それぞれの事情に応じて利用できる制度の方が、多くの社員にとって使いやすい場合があります。
正しい知識を、女性だけでなく職場全体で共有する
更年期に関する健康教育を行うときも、女性社員だけを対象にする必要はありません。
女性の更年期について、男性の上司や同僚が何も知らなければ、体調の変化を、
「最近やる気がないのかな」「仕事が遅くなったな」と誤解してしまう可能性があります。
一方で、男性自身の加齢に伴う健康課題についても、周囲が理解していなければ、
「気合いが足りない」「昔よりやる気がなくなった」と精神論で片付けられてしまうことがあります。
男女それぞれに起こり得る健康課題について、基本的な知識を職場全体で共有する。これが、お互いを理解する第一歩になります。
企業ストレッチとしては、ここに健康教育の大きな役割があると考えています。
制度を作るだけでは、実際に社員が相談しやすい職場になるとは限りません。管理職が、
「こういう健康課題もあるんだ」と知っている。
同僚が、「見た目では分からない不調もある」と理解している。
本人自身も、「我慢し続けなくていい」と知っている。
こうした知識の積み重ねが、実際に使われる制度や支援につながっていきます。
配慮と、本人の可能性を狭めることは違う
更年期への配慮を考えるうえで、もう一つ注意したいことがあります。
それは、体調への配慮を理由に、本人の能力や可能性まで決めつけないことです。
女性社員に対して、「更年期の時期だから、大きな仕事は任せないでおこう」
男性社員に対して、「最近体調が悪そうだから、管理職候補から外しておこう」
本人に確認せず、会社側だけで判断することは避けたいところです。
もちろん、本人が体調面から仕事量を調整したいと希望する場合は、その意向を尊重する必要があります。
しかし、配慮することと、「きっとできないだろう」と決めつけることは別です。
本人は、「今までどおり働きたい」と思っているかもしれません。
「この仕事には挑戦したい」と考えているかもしれません。
必要なのは、会社が先回りして可能性を閉じることではなく、
どのようなサポートがあれば力を発揮しやすいのかを本人と一緒に考えることです。
これは、アンコンシャス・バイアスの考え方ともつながります。
年齢や性別だけで、「この人はこうだろう」と判断するのではなく、その人自身を見る。
更年期への対策も、社員を特別扱いしたり、能力を制限したりするためのものではありません。
一人ひとりが、できるだけ長く安心して活躍できる環境を作るための取り組みです。
アンコンシャス・バイアスとは?職場の思い込みが社員の能力を奪う理由
https://kenko-stretch.com/unconscious-bias/
更年期世代の健康課題は、健康経営でも考えたいテーマ
健康経営というと、運動、食事、睡眠、メンタルヘルスといったテーマを思い浮かべる方も多いでしょう。
しかし、社員が抱える健康課題は全員同じではありません。
年齢、性別、仕事内容、生活環境によっても、必要なサポートは変わります。
若手社員が多い会社と、40代から50代の社員が多い会社では、考えるべき健康課題も違います。
だからこそ、全社員に同じ健康施策を行うだけではなく、自社の社員構成や健康課題を知ることが重要です。
女性には女性特有の健康課題があります。男性にも、加齢とともに変化しやすい健康課題があります。
その違いを理解したうえで、どちらか一方だけに偏らず、相談や支援につながる環境を整える。
これも、社員一人ひとりの状況に合わせた健康経営の一つです。
社員が体調不良を我慢しながら働き続ける。不調を誰にも相談できない。症状が悪化してから仕事を続けられなくなる。
そうなる前に、会社としてできることがあります。
正しい知識を共有する。相談できる人を明確にする。必要に応じて働き方を調整する。そして、本人の希望を確認する。
こうした取り組みは、更年期対策だけではなく、社員が安心して働き続けるための職場づくり全体につながります。

まとめ
更年期世代の健康課題は、女性だけの問題ではありません。
女性と男性では、起こりやすい変化や背景に違いがあります。
しかし、会社として大切にしたいことには共通点があります。
それは、
- 性別や年齢だけで決めつけない
- 一人ひとりの体調や状況を見る
- 困ったときに相談できる環境を作る
- 必要に応じて働き方を一緒に考える
- 不調を我慢し続けず、必要な受診につなげる
- 配慮を理由に本人の可能性まで狭めない
更年期への対策は、特別な人だけのために行うものではありません。
社員が年齢や性別に関係なく、健康上の変化があっても安心して働き続けられる会社を作る。
そして、一人ひとりが持っている能力を発揮できる環境を整える。
企業ストレッチが考える健康経営も、こうした「人それぞれの違いを理解しながら、安心して活躍できる環境を作ること」を大切にしています。
参考リンク
更年期症状で仕事をあきらめないために 早めに婦人科とつながろう(厚生労働省)
企業ストレッチとは
大阪府松原市を拠点にする企業ストレッチは、
「健康」を「組織の活力」につなげる、企業向けの健康経営をサポートする会社です。
ヘルスケア研修・体操教室・コンディショニングサポートなどの運動プログラムから、
健康経営優良法人の認定サポートまで、導入から定着・内製化までしっかり伴走。
「健康にイキイキと働ける職場づくり」をお手伝いします。