今年も半分が終わり7月になりましたが、今年も熱いですね、、、
夏になると、ニュースで「熱中症による救急搬送」や「職場での死亡事故」という言葉を耳にする機会が増えます。
熱中症は屋外で起こるイメージを持つ方も多いかもしれませんが、実際には工場や倉庫、厨房、介護施設など屋内でも多く発生しています。また、IT企業など空調のあるオフィスでも、営業や現場対応、通勤中などに熱中症となるケースは少なくありません。
企業にとって熱中症対策は、単なる福利厚生ではなく「社員の命を守る」ための重要な安全衛生活動です。近年は気温の上昇に伴い、熱中症による労働災害も増加しており、企業に求められる対策も年々強化されています。
この記事では、まず熱中症が起こる理由や企業への影響について解説し、後半では会社として具体的に取り組める対策をご紹介します。
職場での熱中症は年々増加している
厚生労働省が公表している「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」を見ると、熱中症による労働災害は増加傾向にあります。
| 年度 | 職場での熱中症死傷者数 | 死亡者数 |
|---|---|---|
| 2021年 | 561人 | 20人 |
| 2022年 | 827人 | 30人 |
| 2023年 | 1,106人 | 31人 |
| 2024年 | 1,257人 | 31人 |
※死傷者数には死亡者を含みます。
出典:厚生労働省「2024年(令和6年)職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)」(厚生労働省)
2024年は統計開始以来、最も多い1,257人が熱中症により休業または死亡しています。特に建設業や製造業、運送業など屋外・高温環境での作業が多い業種で多く発生していますが、近年は物流倉庫や介護施設などでも増加しています。
「毎年暑いから仕方ない」と考えるのではなく、「毎年増えているからこそ対策が必要」という意識が企業には求められています。
熱中症はなぜ起こるのか
私たちの体は、汗をかいたり皮膚から熱を逃がしたりすることで体温を約37℃前後に保っています。
しかし、高温多湿な環境では汗が蒸発しにくくなり、体内の熱を十分に放散できなくなります。さらに大量の発汗によって水分や塩分(ナトリウム)が失われると、体温調節機能がうまく働かなくなり、熱中症を発症します。
特に次のような条件が重なるとリスクは高くなります。
- 気温や湿度が高い
- 直射日光を長時間浴びる
- 重い荷物を運ぶなど身体負荷が大きい
- 水分・塩分補給が不足している
- 睡眠不足や体調不良
- 暑さに身体が慣れていない(暑熱順化不足)
「気温が高いから熱中症になる」のではなく、「環境」と「身体の状態」が重なることで発症する点が重要です。
そのため、社員一人ひとりの体調管理だけでなく、会社が働く環境を整えることも欠かせません。

熱中症が会社に与える影響
熱中症は本人の健康被害だけでは終わりません。企業全体にも大きな影響を与えます。
まず最も重要なのは、社員の命や健康が脅かされることです。
軽症であれば休憩や水分補給で改善する場合もありますが、重症化すると意識障害やけいれん、高体温による多臓器障害を起こし、救急搬送や入院が必要になることがあります。対応が遅れれば命に関わるケースもあります。
また、社員が休業すれば現場では他の社員がその業務を補うことになります。
その結果、
- 残業時間の増加
- 生産性の低下
- 他社員への負担増加
- 納期への影響
- 人手不足の悪化
など、職場全体へ影響が広がる可能性があります。
さらに、労働災害として扱われるケースでは企業の安全配慮義務も問われます。
近年は熱中症予防に関する法令やガイドラインも整備されており、「暑かったから仕方ない」では済まされない時代になっています。(職場における熱中症による死傷災害の発生状況)
熱中症は予防できる災害
熱中症は突然起こるように見えますが、多くの場合は予防できます。
十分な水分・塩分補給、適切な休憩、暑さ指数(WBGT)の活用、作業時間の調整など、基本的な対策を積み重ねることで発症リスクは大きく減らせます。
重要なのは、「社員が自己管理する」のではなく、「会社全体で予防する」という考え方です。
社員一人ひとりに「気を付けてください」と呼び掛けるだけでは限界があります。
職場環境やルールを整え、熱中症になりにくい仕組みをつくることが、これからの企業には求められています。

会社でできる熱中症対策
熱中症を防ぐためには、社員一人ひとりの意識だけに頼るのではなく、会社として対策を仕組み化することが重要です。厚生労働省では、熱中症予防として「作業環境管理」「作業管理」「健康管理」「労働衛生教育」の4つを柱とした対策を推奨しています。
ここでは、中小企業でも比較的取り組みやすい対策をご紹介します。
① WBGT(暑さ指数)を活用する
近年、気温だけではなく「WBGT(暑さ指数)」を基準に作業を管理する企業が増えています。
WBGTとは、
・気温
・湿度
・輻射熱(地面や建物からの熱)
を総合的に評価した指標です。
例えば、気温が30℃でも湿度が高ければ熱中症の危険性は高くなります。
逆に、気温が高くても風通しが良ければリスクが下がることもあります。
そのため、現在では気温ではなくWBGTを参考に休憩時間や作業内容を調整することが推奨されています。
工場や建設現場では携帯型WBGT計を導入している企業も増えています。
② 水分だけではなく塩分補給も大切
「水を飲んでいるから大丈夫」と思われがちですが、大量に汗をかく環境では水だけでは十分ではありません。汗と一緒にナトリウムなどの電解質も失われるため、水だけを大量に飲むと体液のバランスが崩れることがあります。
会社では、
・ウォーターサーバー
・スポーツドリンク
・経口補水液
・塩飴
・塩タブレット
などを準備しておくと安心です。
また、「喉が渇いたら飲む」のではなく、30~60分ごとにこまめな水分補給を促すことも重要です。
特に作業に集中していると、喉の渇きを感じにくくなるため、休憩時間を決めて飲む仕組みづくりが効果的です。
③ 休憩場所を整える
暑い場所で作業した後に十分身体を冷やせる環境があるかどうかは、熱中症予防に大きく影響します。
休憩場所には、
・エアコン
・大型扇風機
・スポットクーラー
・冷たい飲み物
・保冷剤や冷却タオル
などを準備すると良いでしょう。
特に屋外作業では、日陰や空調設備のある休憩場所を確保することが重要です。
短時間でも身体を冷やすことで深部体温の上昇を抑え、次の作業への負担を軽減できます。
④ 社員教育を行う
熱中症は、初期症状に気付けるかどうかで重症化を防げる可能性が大きく変わります。
例えば、
・めまい
・立ちくらみ
・大量の発汗
・筋肉のけいれん
・頭痛
・吐き気
・強い疲労感
などは熱中症のサインです。
これらの症状が現れた場合は、「少し休めば大丈夫」と無理を続けるのではなく、涼しい場所へ移動し、水分・塩分補給を行うことが大切です。
また、意識がもうろうとしている、呼びかけへの反応が悪い、自力で水分補給ができない場合は重症の可能性があります。その際は迷わず119番通報し、救急隊を要請してください。
現場責任者だけでなく、社員全員が初期対応を理解しておくことが重要です。
⑤ 睡眠や体調管理も会社全体で意識する
熱中症は、その日の暑さだけで起こるものではありません。
睡眠不足、飲酒、朝食を食べていない、発熱や下痢などによる脱水状態も発症リスクを高めます。
会社では朝礼などを活用し、
「昨日はしっかり眠れましたか?」
「体調が悪い方はいませんか?」
といった声掛けを行うだけでも早期発見につながります。
特に高齢者や持病のある社員、新入社員など暑さに慣れていない方は注意が必要です。

健康経営の視点でも重要な熱中症対策
熱中症対策は、単に夏だけの安全対策ではありません。
社員が健康に働き続けられる環境を整えることは、健康経営の重要な取り組みの一つです。
熱中症による休業や労働災害を防ぐことは、
・生産性の維持
・離職防止
・安全文化の定着
・企業イメージの向上
にもつながります。
さらに、「会社が自分たちの健康を大切に考えてくれている」と社員が感じることは、エンゲージメントや働きやすさの向上にも良い影響を与えるでしょう。
まとめ
近年の猛暑により、職場での熱中症は年々増加しています。
しかし、多くの熱中症は適切な対策によって予防できる災害でもあります。
WBGTを活用した作業管理、水分・塩分補給、休憩場所の整備、社員教育、健康状態の確認など、一つひとつの取り組みは決して難しいものではありません。
だからこそ重要なのは、「暑いから気を付けよう」と個人任せにするのではなく、「熱中症になりにくい職場をつくる」という会社全体の視点です。社員が安心して働ける環境づくりは、労働災害の防止だけでなく、生産性の向上や健康経営の推進にもつながります。
今年の夏も厳しい暑さが予想されています。ぜひこの機会に、自社の熱中症対策を見直し、大切な社員の健康と命を守る取り組みを進めていきましょう。