「今日は飲まないようにしよう」そう思っていたのに、仕事が終わるとコンビニでお酒を買っている。
「1本だけにしよう」と思って飲み始めたのに、気が付いたら何本も飲んでいる。
そして次の日に、「昨日は飲み過ぎたな……」と後悔する。
もし、こんなことが何度も続いているなら、単純に「お酒が好き」というだけではなく、飲酒が習慣化していたり、依存の問題が関係していたりする可能性があります。
アルコール依存症は、本人の意思が弱いから起こるものではありません。
厚生労働省も、依存症について「やめたくても、やめられない」状態になる病気として説明しており、アルコールなどによる快楽刺激が繰り返されることで脳がその刺激に慣れ、コントロールが難しくなることがあるとしています。
だからこそ、「自分は意志が弱い」と自分を責め続けるより、
「どうすれば飲まなくても済む環境を作れるか」を考えることが大切です。
今回は、アルコール依存から抜け出すために知っておきたい仕組みと、自分でできる具体的な工夫について紹介します。
アルコール健康障害対策(厚生労働省)
なぜアルコールに依存してしまうの?
まず知っておきたいのが、依存は「気合い」だけで解決できる問題ではないということです。
お酒を飲むと、気分が楽になったり、嫌なことを忘れられたり、ストレスが軽くなったように感じることがあります。
仕事で疲れた日には、「とりあえずビール!」
嫌なことがあった日には、「今日は飲まないとやってられない!」
となることもあります。ここに依存のきっかけがあります。
お酒を飲む
↓
気分が楽になる
↓
「お酒を飲めば楽になれる」と覚える
↓
ストレスが溜まる
↓
またお酒を飲む
この繰り返しが続くと、飲酒が「楽しみ」から「必要なもの」へ変化していくことがあります。
さらに、飲酒を続けることで以前と同じ量では満足できなくなり、飲む量や回数が増えていく場合もあります。
つまり、「お酒が飲みたいから飲む」だけではなく、
「嫌な気分を変えるために飲む」という状態になっていくことがあるのです。

アルコール依存には身体だけでなく生活へのリスクもある
アルコールの問題は、肝臓だけの話ではありません。飲酒量が増えることで、身体面だけでなく、仕事や家庭、人間関係にも影響する可能性があります。
厚生労働省は、不適切な飲酒がアルコール健康障害につながるだけでなく、飲酒運転、暴力、虐待、自殺など、さまざまな社会的問題とも関連するとしています。
また、アルコール依存症では、アルコールが体から抜けることで、イライラ、不眠、頭痛、吐き気、手の震え、発汗、動悸などの離脱症状が現れることがあります。
すると、「気持ち悪いから飲みたくない」ではなく、
「この症状を抑えるために飲もう」となってしまうことがあります。
ここまで進んでいる場合は、単なる生活習慣の改善だけで対応しようとせず、医療機関や専門の相談機関につながることが大切です。
特に、毎日かなりの量を飲んでいる人や、飲酒をやめると手の震えなどの症状が出る人は、自己判断で急に断酒するのではなく、医療機関に相談してください。
まずは「自分はお酒をどうしたいのか」を宣言する
ここからは、まだ依存症と診断されていない人や、飲酒習慣を見直したい人にもできる方法です。
おすすめしたいのが、「宣言すること」です。
「今日からお酒を減らします」
「平日は飲みません」
「今月は休肝日を増やします」
など、自分の目標を言葉にしてみましょう。
できれば、家族や友人など信頼できる人にも伝えてみてください。
なぜ宣言が大切なのでしょうか。
それは、自分の頭の中だけで考えている状態から、「自分はこうする」と具体的な行動に変えられるからです。
「飲み過ぎないようにしよう」という曖昧な目標より、
「月曜日から木曜日は飲まない」
のように具体的にした方が、自分で振り返りやすくなります。
ただし、ここでも大切なのは完璧主義にならないこと。1日飲んでしまったからといって、
「もう全部ダメだ」と諦めてしまう必要はありません。翌日からまた取り組めばいいのです。
健康づくりでは、失敗しないことよりも、失敗した後に戻れる仕組みを作ることが重要です。
筆者である川端もお酒は程々にはよく飲みます。
そして、お酒には「仲良くなりやすい」「楽しくなる」「嫌な事を忘れられる」など、
多くのメリットもあります。
大切なのは、「お酒を飲んでも、お酒に飲まれない」事。つまり、依存をしない事。
宣言も1回である必要はありません。
「今週は1回以内にする」「先週は週2回に抑えられたから、今週は1回だ!」などでも構いません。
自分でコントロールし、まずは出来る範囲で目標設定をし、宣言をする事をお勧めします。
「家に酒を置かない」はかなり強力
そして、私が特におすすめしたいのが、
「家にお酒を置かない」という方法です。
「飲まないように我慢する」より、「そもそも飲めない環境にしておく」方が簡単だからです。
家にビールやチューハイが置いてあると、仕事から帰ってきた瞬間に、
「1本くらい飲もうかな」という選択肢が生まれます。
冷蔵庫を開ければすぐ飲める。しかも疲れている。この状態では、意志の力だけで我慢するのは大変です。
逆に家にお酒がなければ、飲みたくなっても、「買いに行く」という一手間が必要になります。
この「一手間」が意外と大切です。
衝動と行動の間に時間を作ることで、「本当に今飲みたいのかな?」と考える余裕が生まれます。
これはお酒に限った話ではありません。
健康的な生活を作るときには、良い行動を簡単にし、避けたい行動を少し面倒にすることが非常に有効です。
飲酒記録をつけると「自分のパターン」が見えてくる
お酒を減らしたいと思ったら、ぜひやってほしいのが飲酒記録をつけることです。
難しい記録は必要ありません。「飲んだ・飲まなかった」を毎日チェックするだけでも十分です。
さらに余裕があれば、飲んだ量や、その日の気分も記録してみましょう。
| 日付 | 飲酒 | 量 | その日の気分 |
|---|---|---|---|
| 月 | ○ | ビール2本 | 疲れた |
| 火 | × | ― | 普通 |
| 水 | ○ | チューハイ1本 | ストレス |
| 木 | × | ― | 調子が良い |
| 金 | ○ | ビール3本 | 仕事が忙しかった |
こうして記録していくと、
「仕事が忙しい日に飲みやすい」「休日は飲む量が増える」「家にいると飲んでしまう」
など、自分の飲酒パターンが見えてくることがあります。ここが非常に大切です。
「お酒をやめる」という大きな問題を、「自分はどんなときに飲みたくなるのか?」
という具体的な問題に変えられるからです。
チェック表は「自分を責めるため」ではない
飲酒記録をつけるときに、絶対に忘れてほしくないことがあります。
それは、チェック表は自分を責めるためのものではないということです。
飲んでしまった日に、「また飲んでしまった……」と×をつけて落ち込むためのものではありません。むしろ、「今日は飲まなかった!」という日に○をつけて、
「自分、ちゃんとできてるやん!」と自分を認めるために使ってほしいのです。
健康習慣は、できなかったことばかりに注目すると続きません。
1日飲まなかった。2日続けて飲まなかった。今週は3日休めた。
そうした小さな成功を「見える化」することで、自分自身の行動を実感できます。
これは「自己承認」にもつながります。「自分には無理」と思っていたことでも、「意外とできるやん」
という経験が増えてくる。この感覚が、次の行動につながります。

「飲みたい」と思ったときにチェック表を見る
さらにおすすめなのが、チェック表を目につく場所に置いておくことです。
スマートフォンのメモでもいいですし、カレンダーでも構いません。
「今日は飲まない」と決めた日に、仕事から帰ってきて、「今日は飲もうかな……」と思ったとします。
そんなときに、これまでの記録を見てみる。
「先週は3日飲まなかったな」「今週はもう2日できている」「ここで飲まなかったら5日目だ」
と、今までの自分の行動を確認できます。
その瞬間、「せっかくここまで続けたんだから、今日はやめておこう」と踏み止まれるかもしれません。
もちろん、記録をつければ必ず飲酒をやめられるわけではありません。
しかし、自分の行動を客観的に見るきっかけにはなります。
「なんとなく飲んでしまう」を、「今、自分は飲もうとしている」と認識できるだけでも大きな違いです。
お酒の代わりになる「楽しみ」を作る
もう一つ大切なのが、お酒をやめるだけで終わらせないことです。
仕事が終わった後にお酒を飲むことが習慣になっている人は、お酒そのものだけでなく、
「仕事が終わった!」「今日も頑張った!」という切り替えの時間を求めている場合があります。
そのため、お酒を取り上げるだけでは、「じゃあ仕事が終わった後、何をすればいいの?」となってしまいます。
そこで、お酒を飲む時間に別の楽しみを入れてみましょう。
炭酸水を飲む
ノンアルコール飲料を楽しむ
お風呂に入る
散歩をする
好きな音楽を聴く
家族と話す
趣味の時間を作る
こうした「別の選択肢」を用意しておくことで、お酒以外にも気持ちを切り替える方法が増えていきます。
特に、「仕事が終わったら何をするか」をあらかじめ決めておくのがおすすめです。
その場の気分で決めるよりも、行動に移しやすくなります。
アルコール依存が疑われるなら、一人で戦わない
ここまで、自分でできる工夫を紹介してきました。ただし、ここは非常に重要です。
アルコール依存症が疑われる場合は、一人で頑張り続けないでください。
飲酒量を自分でコントロールできない状態が続いている、飲酒によって仕事や家庭生活に問題が起きている、飲まないと手が震えるなどの離脱症状がある場合は、専門家への相談が必要になることがあります。
アルコール依存症は「気合いで何とかするもの」ではありません。
専門的な治療や支援を受けながら、少しずつ回復を目指していく病気です。
「病院に行くほどではない」と思っている段階でも、相談すること自体は悪いことではありません。
むしろ、問題が大きくなる前に相談することが大切です。
また、重度の飲酒習慣がある人が急に断酒すると、強い離脱症状が起こる場合があります。
そのため、毎日多量に飲酒している方は、自己判断で急に断酒せず、医療機関に相談してください。

まとめ
アルコール依存から抜け出すために大切なのは「自分の意志を強くすること」だけではありません。
むしろ、飲まなくても済む環境を作ることが重要です。
まずは、自分がどうしたいのかを宣言してみる。
そして、家にお酒を置かない。
さらに、飲酒記録をつけて、自分の行動を見える化する。
飲まなかった日は、「今日もできた!」と自分を認める。
この小さな積み重ねが、自分で踏み止まる力につながります。
もちろん、一度飲んだからといってすべてが失敗になるわけではありません。
大切なのは、「今日は飲んでしまった」で終わるのではなく、「じゃあ明日はどうする?」と考えること。
健康づくりは、完璧にできる人だけが成功するものではありません。
自分の状態を知り、環境を変え、できたことを認めながら、一歩ずつ続けていく。
もし「お酒をやめたいのにやめられない」と感じているなら、まずは今日からできる小さな一歩として、家にあるお酒を見直し、飲酒記録をつけることから始めてみてください。
そして、自分だけでは難しいと感じたら、専門家を頼ってください。助けを借りることも、健康を取り戻すための立派な行動です。
参考リンク
企業ストレッチとは
大阪府松原市を拠点にする企業ストレッチは、
「健康」を「組織の活力」につなげる、企業向けの健康経営をサポートする会社です。
ヘルスケア研修・体操教室・コンディショニングサポートなどの運動プログラムから、
健康経営優良法人の認定サポートまで、導入から定着・内製化までしっかり伴走。
「健康にイキイキと働ける職場づくり」をお手伝いします。