せっかく社員の健康を想って導入した制度が、いつの間にか誰も使わない置物になってはいませんか。それは社員のやる気の問題ではなく、会社の仕組みが今の現場の空気感に合っていないだけかもしれません。誰でも無理なく取り組めて、すぐに効果を実感できる仕組み作りで、社員が自ら動きたくなる職場へと変えていく方法をお伝えします。
目次
1 制度はあるのに現場が冷めている本当の理由
2 良かれと思って始めた施策が逆効果になる罠
3 意思の強さに頼らない仕組みの設計図
4 投資としての健康経営を可視化する
1 制度はあるのに現場が冷めている本当の理由
社長、あるいは人事の責任者として、社員が毎日元気に働いてほしいと願うのは当然の親心だと思います。高い費用を払ってジムの優待を導入したり、社内に健康食品を置いたり、専門家を呼んで立派なセミナーを開いたり。でも、いざ蓋を開けてみたら、参加するのはいつも同じ健康に関心の高いメンバーだけ。肝心の、一番疲れていそうな社員ほど見向きもしない。
結局、制度だけが浮いてしまい、現場の温度差に寂しさや虚しさを感じている経営者の方は本当に多いのです。社員のために良かれと思って始めたことが、逆に現場の負担になっていないか。残業を減らそうと言えば仕事が回らないと不満が出て、運動を促せば疲れているから無理だと拒絶される。
この溝は、単なるコミュニケーション不足ではなく、アプローチの仕方が今の現場の現実に即していないことが原因なのです。
多くの会社では、健康を維持することを社員個人の努力やモチベーションに依存してしまっています。
でも、日々の業務に追われる中で、自分の健康にまで気を配る余裕なんて、今の社員には残っていないのが実情ではないでしょうか。

社員は会社にとって、替えの利かない大切な家族のような存在です。
その人財が、疲れた顔でデスクに向かい、生気のない様子で帰宅していく姿を見るのは、経営者として何より辛いことだと思います。
だからこそ、もっと手軽に、もっと自然に、頑張らなくても体が楽になる方法を提供したい。
それが経営層の共通の願いですし、そこに応えるのが本当の健康経営だと私は考えています。
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/shibu/osaka/health_promotion/001/001
2 良かれと思って始めた施策が逆効果になる罠
なぜ、社員想いの社長が用意したメニューは、現場でスルーされてしまうのでしょうか。
よくある失敗例は、メニューを豪華にしすぎることなのです。1時間の運動セミナーや、休日開催のウォーキングイベント。これらは、もともと元気な人には良い刺激になりますが、疲れ切った人には追加の業務にしか感じられないのです。
社長、また大変なことを始めてしまったな、と遠巻きに見られて終わり。これではあまりにも報われません。
次に多いのが、強制力の働かせ方を間違えるパターンです。参加率を評価に入れるといった手法は、表面上の数字は整いますが、社員の心は離れていきます。
やらされていると感じた瞬間に、健康への取り組みは苦痛へと変わるのです。大切なのは、社員が自ら、これならやりたい、やったら体が楽になった、と実感できる成功体験を、いかに小さく提供できるかです。

また、コスト面での誤解も大きなハードルになっています。高額な機器を導入したり、専属の産業医と契約したりすることだけが健康経営ではありません。実は、現場のちょっとした動作を変える、あるいは椅子に座ったままでできる数秒の工夫。
こうした、お金をかけず、手間も取らせない取り組みこそが、一番高い継続率と効果を生むのです。
専門家が教える難しい理論よりも、今日この場で首の重さが消える感覚。その1回の心地よさが、100回の正論よりも人を動かします。仕組みそのものが、社員への優しさとして伝わっていないことが、形骸化の最大の原因なのです。
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/shibu/osaka/health_promotion/005
3 意思の強さに頼らない仕組みの設計図
健康経営を成功させる鍵は、社員のやる気に期待しないことです。
冷たい言い方に聞こえるかもしれませんが、これは理学療法士として多くの現場を見てきた私の確信です。どれだけ良い習慣でも、実行するのにエネルギーが必要なものは、忙しい現場では必ず後回しにされます。必要なのは、個人の意思の力を使わずに、勝手に体が整ってしまうような環境の設計なのです。
例えば、新しい習慣をゼロから作らせるのではなく、既にある習慣に紐付ける手法があります。朝礼の最後、電話を切った後、あるいはパソコンを立ち上げるまでの数秒。これら日常の動作の中に、ほんの少しのケアを組み込むのです。わざわざ運動するぞと身構えるのではなく、仕事の一部として自然に体が動く状態を作ります。
また、会社側がすべきことは、社員に頑張らせることではなく、頑張る邪魔をしている要因を取り除くことです。集中力が続かないのは本人のせいではなく、職場の照明やデスクの配置、あるいは休憩の取り方のルールが原因かもしれません。社員を人財として大切に思うなら、まずは彼らが無理をせずにパフォーマンスを出せる土台を整えてあげる。
この視点の切り替えこそが、形骸化を防ぐ最大の防御策となります。

理学療法士としての視点で見れば、人の体は驚くほど環境に左右されます。会社が用意すべきなのは、高いジムの会員権ではなく、日常の中で自然と巡りが良くなるような、物理的で心理的な仕掛けなのです。それが実現できれば、社員は自然と前向きになり、職場に活気が戻ってきます。
https://jsite.mhlw.go.jp/shiga-roudoukyoku/content/contents/001019636.pdf
4 投資としての健康経営を可視化する
では、こうした取り組みが経営にどのような影響を与えるのでしょうか。健康経営は、単なる福利厚生ではなく、最も効率の良い投資の一つです。多くの経営者は、目に見えるコストには敏感ですが、目に見えない損失には無頓着になりがちです。例えば、肩こりや腰痛、慢性的な疲労のせいで、社員の集中力が10パーセント低下しているとします。1日8時間のうち、約50分が無駄になっている計算です。
これが30人の会社であれば、1日で計25時間分の人件費が、何の成果も生まずに失われていることになります。月間に換算すれば、経営を圧迫しかねないほどの巨大な損失です。

この損失を、たった数分の、お金も手間もかからない仕組みで半分にする。これこそが、中小企業が取り組むべき、最も手堅い経営戦略です。
私たちの強みは、こうした難しい理論を、現場の社員が「これならできる」と思えるくらい簡単に、そして楽しく伝えられることです。社長の想いを、押し付けではなく、会社からの感謝の形として翻訳して、社内に浸透させます。
大掛かりな設備投資は要りません。必要なのは、今のやり方を少しだけ見直し、仕組みを変える勇気だけです。
社員を大切に想う社長の優しさが、独りよがりで終わらないために。一生懸命働いた証である疲れを、会社が丸ごと包み込んで解消する。そんな、誰もが働きやすい、活気に満ちた職場を一緒に作っていきませんか。

社員の方々の人生を大切に想う、あなたの温かい気持ちを形にするお手伝いをさせてください。