1 はじめに

こんにちは。理学療法士 兼 健康経営EXアドバイザーのばたやんこと、川端永耶(かわばた はるや)です。
2026年も明けましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。 私の拠点である大阪の松原市や羽曳野市周辺も、今年の冬は格別に冷え込んでいます。大阪は雪が少ないから暖かいなんて思われがちですが、底冷えする寒さは身体に堪えますよね。特に朝、布団から出るあの瞬間は、1日の中で最も過酷なミッションと言えるかもしれません。(笑)
さて、経営者様や人事担当者様にとって、この時期もっとも頭を悩ませるのが冬の感染症ではないでしょうか。 風邪くらいでと軽く見てはいけません。社員一人の体調不良は、チームの士気、業務効率、そして企業の利益に直結する重大なリスクです。
私は以前、大阪市内の病院で理学療法士として勤務し、その後パーソナルジムを経営していました。その中で数えきれないほどの働きすぎて倒れる人や、無理をして長引かせる人を見てきました。現在はその経験を活かし、企業の外部CHO(最高健康責任者)として活動していますが、やはり冬場は体調を崩す方が急増します。
今回は、2026年最新の感染症傾向と、理学療法士の視点から見る冷えと免疫の関係、そして企業ができる具体的な対策について、かなり踏み込んで解説します。少し長くなりますが、御社の守りを固めるためにぜひ最後までお付き合いください。
2 2025年末から2026年の感染症トレンドと企業リスク

まずは敵を知ることから始めましょう。2025年から2026年にかけての冬、どのような感染症リスクが潜んでいるのでしょうか。
複数の感染症が入り乱れるマルチデミックの懸念があります。 今シーズンは、インフルエンザの流行開始が例年よりやや早く、そこに新型コロナウイルスの変異株、さらにはマイコプラズマ肺炎や感染性胃腸炎(ノロウイルス等)が同時多発的に発生するリスクが高まっています。産業医や専門家も、この冬は複数のウイルスに対する警戒が必要だと警鐘を鳴らしています。 https://iwamisangyoui-office.com/?p=554
企業にとっての真のリスクとは何でしょうか。
単に社員が休むだけではありません。以下のような隠れたコストが発生します。
1 代替要員の確保と残業代の増加です。 誰かが休めば、残ったメンバーにしわ寄せがいきます。急な業務変更はミスの原因にもなり、カバーする社員の疲労蓄積につながります。
2 プレゼンティーズム(Presenteeism)の悪化です。 これは休むほどではないが調子が悪い状態で出社し、パフォーマンスが低下することを指します。実は欠勤(アブセントイズム)よりも企業損失が大きいと言われています。頭がぼーっとした状態で仕事をしても、良い成果は生まれません。
3 社内パンデミックによる事業停止です。 換気の悪い会議室で一人が咳をすることで、部署全員が濃厚接触者となり、プロジェクトがストップするリスクです。BCP(事業継続計画)の観点からも、感染症対策は福利厚生ではなく危機管理として捉える必要があります。
3 理学療法士が解説:冷えはなぜ免疫を下げるのか

ここで、理学療法士としての専門的な視点をお話しします。 なぜ寒いと風邪をひきやすくなるのでしょうか。これには明確な生理学的メカニズムがあります。
体温と免疫細胞の関係について解説します。 私たちの身体には、ウイルスや細菌と戦う免疫細胞(白血球など)が存在します。これらは血液に乗って全身をパトロールしています。しかし、身体が冷えると以下のような反応が起こります。
まず、血管収縮が起きます。 熱を逃がさないように、末梢(手足)の血管がギュッと縮まります。これにより手先や足先が冷たくなります。
次に、血流低下が起きます。 血管が縮むことで、道路が狭くなるのと同じ状態になり、免疫細胞が身体の隅々まで届きにくくなります。パトロールカーが渋滞に巻き込まれているような状態です。
さらに、酵素活性の低下が起きます。 免疫細胞が働くためには酵素が必要です。しかし、体温が1度下がると、この酵素の働きが数十パーセント低下すると言われています。
つまり、冷えている身体は警備員(免疫細胞)が出動できない状態かつ、武器(酵素)が使えない状態なのです。これではウイルスが侵入しても太刀打ちできません。
冬の肩こりも感染リスクを高めます。 寒さで身を縮めると、首や肩の筋肉が緊張します。首周りには自律神経の中でも、リラックスや内臓の働きを司る副交感神経に関わる重要な神経が通っています。筋肉の緊張でここが圧迫されると、常に緊張状態(交感神経優位)となり、免疫システムが正常に機能しなくなります。 たかが冷え、たかが肩こりと侮ってはいけません。それが感染症への入り口になっているのです。
4 個人編:オフィスで実践!3つの防衛術

では、従業員の皆様一人ひとりができる対策は何でしょうか。 手洗い・うがいは大前提として、ここでは身体機能を高めるアプローチを紹介します。社内報などでぜひ共有してください。
対策1:3つの首を死守する
古くから言われますが、首・手首・足首には太い血管が皮膚の近くを通っています。ここを温めることで、効率よく温かい血液を全身に巡らせることができます。
首にはハイネックや薄手のストールを活用してください。 手首にはアームウォーマーや、袖口が締まった服を選ぶのが有効です。 足首にはレッグウォーマーや、厚手の靴下がおすすめです。特に女性は足元からの冷えが大敵です。
対策2:粘膜を乾燥させないちょこちょこ飲み
ウイルスの多くは、喉や鼻の粘膜から侵入します。粘膜には線毛(せんもう)というブラシのような機能があり、異物を排出してくれますが、乾燥するとこの動きが止まってしまいます。 喉を潤し続けるために、20分から30分おきに一口、温かい飲み物や常温の水を飲むちょこちょこ飲みを推奨します。胃腸を冷やす冷たい水は避けましょう。
対策3:座ったままできる免疫アップ・ポンプ体操
理学療法士直伝、デスクで座ったまま血流を改善する運動です。ふくらはぎは第2の心臓と呼ばれ、血液を心臓に戻すポンプの役割をしています。以下の手順で行ってください。
1 椅子に浅く座り、背筋を伸ばします。
2 かかとを思い切り上げます。つま先立ちのような状態です。
3 かかとをドスンと下ろし、同時につま先を思い切り上げます。
4 これを1、2、1、2のリズムで20回繰り返します。
これだけで、足元の鬱滞した血液が循環し始め、体がポカポカしてきます。1時間に1回行うのが理想です。
5 企業編:健康経営EXアドバイザーが提案する環境と制度

個人の努力だけでは限界があります。ここで会社として取り組むべき仕組みの出番です。 健康経営EXアドバイザーの視点から、即効性のある施策を3つ提案します。
施策1:湿度40パーセントから60パーセントの厳守と可視化
冬のオフィスは、暖房により湿度が20パーセント台まで下がっていることが珍しくありません。これは砂漠と同じレベルです。 ウイルスは乾燥すると軽くなり、空気中を長時間漂います。
対策として、大型加湿器の導入はもちろん、各デスクに湿度計を置き見える化してください。湿度が40パーセントを切ったら加湿器の水を補充するという当番制を作るのも有効です。 また、換気をすると室温と湿度が下がります。CO2モニターを設置し、二酸化炭素濃度が1000ppmを超えたら換気というように、数値に基づいた効率的な換気を行ってください。
施策2:休む勇気を評価する文化作り
熱があるけど、這ってでも来ましたという根性が美徳とされた時代は終わりました。今はそれが最大のリスクです。
37.5度ルールを設けましょう。 発熱(37.5度以上)時は出社禁止を就業規則やガイドラインで明確にします。基準があることで、従業員は迷わず休むことができます。
上司からの発信が重要です。 管理職が率先して体調が悪い時は休む。それがチームのためだと繰り返し伝えることが重要です。心理的安全性が高まれば、無理な出社による感染拡大(クラスター)を防げます。
施策3:戦略的な仮眠や休憩の導入
免疫力維持には睡眠と休息が不可欠です。 ランチ後の15分程度の仮眠(パワーナップ)を推奨したり、残業続きの社員に対して強制的にリフレッシュ休暇を取得させたりするなど、会社側がブレーキを踏む仕組みを作ってください。
6 まとめ:2年で自走できる健康な組織へ

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
冬の感染症対策は、単なる風邪予防ではありません。 従業員の身体の仕組みを理解し、組織としての環境を整えることで、企業としての基礎体力を上げることそのものです。
私が提供する健康経営サポートは、中小企業様(主に製造、福祉、介護業界など)を中心に、これらの一時的な対策だけでなく、2年で自社で自走できる健康管理体制を作り上げることをゴールにしています。 専門家がいなくなったら元通りになってしまうのでは意味がありません。
社内で健康意識を高めるセミナーをしてほしい。 自社の環境が適切かチェックしてほしい。 助成金や認定制度を活用したいが、何から手をつければいいかわからない。
そのようなお悩みがあれば、ぜひ一度ご相談ください。大阪の寒さに負けない熱量で、御社の健康経営を伴走支援いたします。
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